⑤ 深きもの、ミンソギヒョンのペン沼
【天使の萌え袖♪】
ギョンスのペン沼で溺れているQ(SHINeeのコンサートの同行者)と、ベクペン沼でズブズブしている(しかもキムジョンデ病にも罹患している)私とで、「ギョンとベク以外で、誰のペンの沼が深くて苦しいか」という話になりました。
二人の意見は「それはシウミニヒョンのペン沼だ!」と一致しました。
いや〜、彼のペン沼は深くて深くて、はまったら、ほんとうに大変そうだ……。
「EXO初心者」の方なら、おそらく最初は、ベクかチャニョル、そしてセフンあたりに目を惹かれると思うのですよねえ。
チャニョルとセフンは、EXOが誇る「きれいどころ」二人だし、ベクは歌でもトークでもとにかく目立ってますもんね(太陽ですから!)。ああ、この3人のファンとして、浅瀬でパチャパチャ遊んでいるのは、ほんとうに楽しそう(遠い目)。
「EXO中級」になると、今度は「アジアの初恋」カイ、「リーダー」スホ、「俳優」ギョンス、「Mr. Romantic」ジョンデあたりが控えています。
彼らも突出した強い魅力を持っているメンバーなので、そのキャラクターに惹かれていくのはとてもナチュラルなこと。「あ、この彼が好き」、楽しく嬉しくそれぞれの魅力を愛でていられるのが「EXO中級」。
そんななかで、シウミニヒョンが持っているのは「上級者向け」の魅力なのではないでしょうか。
口を開けば、きちんと話をするひとだけれど、ミンソクは前へ前へと出るタイプじゃない。
バラエティで静かにしているのはカイとギョンスとこのひとで、前者二人は「シャイなひとなんだな」と思うけれど、ミンソクさまの場合は、「はにかんでいる」というより、「控えめ」「謙虚」なひとなんだと思う。
つよい自己主張は何一つしないのだけれど、静かな美しさで、彼を見るひとの表情を微笑に変える。
たぶんそれは、彼の魅力が、このひとの天真爛漫さから出発しているからだと思うのだけれど、実は細心の注意と努力によって裏打ちされた、非常に稀有なものでもある。
チャニョルやセフン、ベクの魅力がとても「わかりやすい」のに対して、ミンソクのそれは、「わかるひとだけが、わかる」「時間をかけて、しみてくる」種類のものなんじゃないでしょうか。
だからこそ、惹かれてしまってたまらなくなる。
そのあたりが、ミンソクさまのペン沼の深くて底なしなところ。
ここで溺れているファンの皆さまは、ベクペン沼(注1)とも、ギョンペン沼とも違ったあまい苦しみで、きっと胸をせつなくさせているんじゃないかと思うのです。
注1 ただし、ベクはわかりやすい魅力もふんだんに持っているんだけど、このひと、もう一段深い場所に、かなり不可思議で強烈なものを抱えている。
ベクペン沼の浅い場所で遊んでいるのは楽しいけれど、深みに落ちると、結構ツラい。
注1の補遺
ジョンデも同じ。彼もただの「愛されジョンデ」じゃなくて、非常に複雑で精緻な思考回路を持ってるひとです。
今はアイドルくんなお仕事をしているけれど、実はこのひと、「表現」よりも、「制作」の方向に興味関心が向いているんじゃないかと思う。
むしろベクよりも難易度が高い。知れば知るほど、好きすぎてどうしたらいいかわからなくて、キムジョンデ病、かなり苦しいです。
注1の補遺2
セフンは、とにかく華やかな容姿をしているので、その魅力に目を奪われがちだけれど、このひとこそが実はEXOのトリックスターだと思う。ときどきこのマンネは、すごい変化球とか豪速球を投げてくるので、こちらは手も足も出なくなる。
「マンネ」というラストピースに、よくぞ彼をはめこんだな、とSMの慧眼ぶりに舌を巻く思いでおります。このひとのペン沼も、深くてやばそうです。
⑥ ビョン・ベッキョンはどこだ!
今回のMVで、ジョンデよりも強烈な、「ラスボス枠」を割りふられたのはベッキョンさんでした。(!)
5分6秒しかないMVで、4分17秒まで、一度たりとも姿を見せないベッキョン。
彼の歌声はパワー全開で繰り広げられていくのに、画面のなかの、どこにもベクがいない。
あ、あれ?
べ、ベク、ベクどこ?
どんどん頭のなかに増えていく「?」の数。
リードヴォーカルにしてEXOのエース、ビョン・ベッキョンさんが、ぜんっぜん、いないじゃないですか!!!
──と、そこへ映る白い猫。それを抱きあげる手。
ベクの手だ!(もちろんすぐわかる。だってファンだもん)
【姫さま……美しくなられましたな】
……そして空を飛んで。
【え? 空とべるのは、クリスじゃなかったの?】
……それから海に落ちる。
もう頭のなかには「?」が灯りっぱなしなんですけど!!
ていうか、今更ですけど、このMVを流れているストーリーって、いったいどうなってるんでしょう?
⑦ The Story of “the Power”
──時空の歪みに存在するもうひとつの世界に、「EXOプラネット」から8人のボーイズが不時着した(ですよね?)。
彼らの特殊能力の源である8つのオーブを、「敵」の手から奪還するために。
最初はてんでんばらばらに戦っている彼らだが、次第に寄り集まって力をあわせて戦うようになる。
戦闘の終盤近く、シウミン、セフン、ギョンス、スホ、カイ、チャニョルの6人が集まって、一斉攻撃をかけるものの、逆に、敵のロボット「(「RF−05」)から、ドカンと一発、大きい攻撃を食らいそうになる。
あわや6人が絶体絶命、というところで、チェンチェンが飛び込んでくる。
「RF−05」の攻撃をシールドで跳ね返して、敵を倒す(やったね)!
倒された敵ロボットからは、たくさんのオーブが転がり出てくる。
それをひとつひとつ手にした7人の彼らは、互いの手を重ね合わせるのだが。
【一番下の手から、時計回りに、カイ・ジョンデ・スホ・セフン・ギョンス・ミンソク・チャニョル】
けれどもそこで、白い子猫が一匹、登場する。
その猫が「謎の装置」(……やすい感じがなんとも言えない)のボタンを連打すると。
7人のボーイズたち(「EXO9人」−「ベク・レイ2人」=7人)の力が奪われていってしまう。
(うーん……この猫って、「敵」側なの?)
えー、ボーイズが、せっかくオーブを手に入れたのに……と思っていると、ここで猫を抱き上げるベッキョンさんのご登場です。
彼が(そのキレーなおテテで)ボタンを押し直すと。
【ベクのおてての見せ場! 見せ場!】
8人のボーイズたちは、ようやく、その特殊能力を取り戻しましたとさ。
めでたしめでたし。
……となるのかと思いきや。
いきなり「Sweet Lies」のエロいベクの歌い出しがはじまって、ベクが空飛んで海に落ちて浮かんでるの。
【撮影、お疲れさまでした♡】
ねえ、皆さま、これ、どう解釈すればいいのでしょうか?
しかもこのときのベクが浮かべている表情が、「『R-18』と年齢制限を入れたくなる」ようなシロモノでございましょう?
……なんでベクが、こんな「(男に抱かれた)エクスタシーの後」みたいな顔を大写しにされているの?
(※ 個人の感想です)
⑧「性別はhimself」な彼
だけど、ちょっとそれは置いておいて、今回はベッキョンが進もうとしている方向性について考えてみたかったりします。
ボーイズグループには、ときたま、「性」を越境してくるような、突出したセックスアピールを放つタイプの「要員」が配置されているものだけれど、そういう存在を、ここでは仮に「性別 : himself」と呼んでおきましょうか。
「男の子」「少年」「男性」「青年」「若い/大人の男」。
いろんなタイプの魅力を持った男子を、バランスよく取り揃えてあるほど、そのグループは成功するのだろうし、そしてEXOもその例に洩れない、成功したグループなのだけれど。
そういうボーイズグループのなかに、ときたま、「男性」という枠組を、かるがると飛び越えてしまうような、一種、異様な魅力を放つ存在がいる場合があります。それが「性別 : himself」です。
「性別 : himself」の彼らは、「女の子のようにかわいい」、もしくは「女性のようにうつくしい」。
すなわち、その魅力にフェミニンな要素は多分に含まれているのだけれど、しかし、「男性」であることを越境したからといって、単純に「女性」の領域に踏み込んでいるわけではないのです。
男性とか女性とかの、「性差」が希薄な場所に彼らは立っていて、それでいながら同時に、突出して性的な存在でもある。
男でもなく、女でもなく、性別は「彼自身」。
そして、そういう「性別:himself」の彼らは、重力のひずみによって生まれたブッラクホールのように、彼に吸い込まれていくことに抵抗できないような、高度なカリスマ性を帯びていくのです。
SHINeeだとテミンがそう。彼はときどき、「男性」でもなく「女性」でもなく、「性別 : テミン」な存在になる。
(キーは違う。彼は「『女子力』高めのキュートな男子」だ。)
そして、EXOだと、それはたぶん、ルハンが担うはずの役割だったんだと思うのです。
でも、ここへ来て、ベッキョンが突如として「性別:ベッキョン」になろうとしている。
──いや、もうすでになっている、のかもしれないです。
「Ko Ko Bop」のMV評で、カラコンを入れて、フルメイクしたMVのベッキョンが、「高級娼婦が男を誘う」ときのような表情を浮かべるのが気になってしかたがない、ということを書きました。
「莫大な高値で性を売る『女』」「高価すぎて誰の手にも届かない薔薇」、とも続けたのですが、たぶんそれこそが、ベクの「性別 : ベッキョン」の特異な魅力の本質だったんじゃないかと思うのです。
バラエティでの「さっくりかわいいアイドルくん」でもなく、CBXでの「かっこよくてハンサムな俺」でもなく、EXOのベッキョンは、なんらかの特異な(褒め言葉)進化をとげて、傑出した存在になっている。
彼本人もつよく志向し、制作サイドも、ビョン・ベッキョンという素材を得て、最高にわくわくしながら「性別 : himself」を作りあげようとしているんじゃないか。
そう思うと、やはりベッキョンの「次の一手」が楽しみでたまらないのです。
(2017.09.21)
(この記事は、「勝手にMV評」④・「Xiumin」⑨・「Baekhyun」⑨です)
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