EXOにmellow mellow!

EXOがだいすき! CBXに夢中な記事やMV・楽曲評、コンサートレポなど、ファントークを綴ったブログです。SHINeeについても少し。

『Cloud9』/コンコースの片隅で【Baekhyun】

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 今でこそベクペンの沼で、あっぷあっぷと溺れていまして、にっちもさっちもいかない日々を送っているわけですが、実は私がこの沼にはまりこんだのは、そう遠くない過去だったりします。

 『Cloud9』がその大きなきっかけですから。

 今日はまあ、その思い出話なんかを。

 よろしければ、どうぞおつきあいください。

 1. 実は(というほどのものでもないけれど)

 実は(というほどのものでもないけれど)、当初、EXOを好きになったときには、私のなかで好きなメンバーは、「1位ドギョンス 2位ジョンデ」で、ベクは圏外、な感じだった。

 とにかく、ドギョンスとジョンデがかわいすぎて、もうこのふたりだけでおなかいっぱい。

 二人とも歌もうまいし、性格も容姿もどんぴしゃりですごく好き。

 

 これまでにもいろいろとボーイズグループで萌えてまいりましたが、「ちっさいの萌え」というのが、いつも私にはつきまとうのです。

 大勢の男の子がわーっといると、まず、「小柄な男の子」に視線が奪われてしまう。

「なんてかわいいんだろう」とか、すぐに思っちゃう。

 ギョンスの、ささやかな感じの肩幅と背中、大きな瞳。

 はにかみやさんなのか、いつもちょっと恥ずかしそうにしていたり、バラエティだと控えめなところ。

 大木みたいなでかい男がが乱立しているなかで(セフンとかチャニョルとかカイとか)、彼が「ちまっ」と立ってたりすると「なにこのかわいいペンギン」とかって思ってしまって、もうそれだけで愛おしさが募ってしまう。

 そのくせやたら賢そうで、ちゃんと男の子っぽいところも、すごくすごく、すき。

 

 ジョンデも、いつも笑っている印象のあるひとで、その笑顔がほんとうにきらきらしていて大好きだった。

 メンバーからの慕われかたといい、たぶん実際に会ったとしても、彼は、ほんとうに「いいヤツ」なんだろうな、というのが伝わってくるような。

 さらに私は、ジョンデの声が好きで好きでたまらない。

 天上の楽器みたいに、高くてきれいに澄んだ声。

 彼の笑い声を聴くのさえ、たまらなく好きで、聴いていると、耳が喜んでいる感覚がある(なので韓国語もわからないのに、やたらyoutubeでラジオを漁っていた)。

 

 しかも、ジョンデは歌いかたが、なんていうんだろう、ちょっと「甘えてる」ように聞こえることがあって。

 声をくーっと伸ばしたあと、ちょっとだけ、最後の音節をきゅっと上にあげるというか。

 フリルをつけるみたいに、ほんのちょっとだけ、声の最後の部分がちらっと上にあがる、そういう歌いかた。

 

 それがまるで「おねだりしている」とか「甘ったれている」ように聞こえて、そういう歌声をジョンデに耳もとでやられてしまうと(イヤフォンで聴いてるというだけの話です)「ああもうチキショウ! 持ってけドロボウ!!」とか逆ギレしながらも、愛さずにいられない。

 

 と、そんなところへ持ってきて。

 『EX'ACT』の「Cloud9」に出会うわけなのですが。

2. 彼の歌がうまいのなんて

  ベッキョンの歌がうまいのなんて、もちろん知っていたし、わかっていたことだった。

 彼の熱心なファンではなかったけれど、「ああ、やっぱりこのひと、すごくうまいな」と思う瞬間は、これまでにも何度もあった。

 たとえば、「What is love」「What if」「My Answer」あたりでは、「私はベクペンじゃないけど、心が震わされるなあ」という感想を抱いていた。

 でも、「ギョンスかわいい!」と「ジョンデだいすき!」という気持ちに挟まれながら聴くと、やっぱりその声は、遠景のなかに遠のく。

 彼の歌がうまいのなんて知ってる、でも、「私はベクペンじゃないけど」という一言が、いつも感想にくっついて回る。

 

 その日、私は、わりと大きな駅のコンコースを歩いていた。

 だだっぴろい地下の空間、蛍光灯の光、たくさんの駅貼りポスター。

 午前中の遅い時刻、何本かの路線が複雑に交差する駅だったから、迷わないように頭上の行き先表示をしょっちゅう確かめながら歩いていた。

 たくさんの人が行き交いながら、あるいは同方向にひとつの大きな河の流れをつくるように歩いている。足早に。

 買ってから1週間くらいたった「EX'ACT」をipodに入れ、イヤフォンで聴きながらその雑踏のなかを歩く。

 たくさんの人と行き交いながら、あるいは、私自身も大きな河の流れのひとつの構成要素になったみたいに、足早に。

 

 そんな状況で、「artificial love」が終わって、「cloud9」が流れ出した。

 

 そのとき気づいた。唐突に。

 雑踏のなかを足早に歩く私のうえに、天啓が降ってきたみたいに。

 ──ちょっと待って。

 この歌のビョン・ベッキョン、今までと違う。

 

 なんなんだ、これ。このひと、こんなに、あり得ないほどうまかった?

 いや、このひとの歌がうまいのなんて、元からだけど、それにしても。ちょっと待ってほしい。

 ほとんど神がかり的なほどじゃないか、この歌いかた。

 なんだ? なんなんだ、この声。

 

 雑踏の中で、思わずたじろぐほど、「このひとの歌はうまい」と思った。

 「ちょっと待って」「待ってほしい」と、何に対してなのかよくわからないけど、無意味に心の中でつぶやいた。

 実際、もう歩き続けられないような気分になって、コンコースの壁際に移動して立ち止まることにした。

 もう一度、「cloud9」を、とりあえず頭から聴きなおすために。 

 

 ──だってね。この歌のベッキョン、すごいよ。

 ちょっと待って。ほんと、待ってほしい。

 こういうの、聴かされたら。

 とりあえず、この雑踏のなかで、歩きかたを忘れてしまうくらいじゃない?

3.Cloud 9

 「cloud9」は、あのアルバムのなかでも、なんだかつかみどころがない不思議な曲だ。

 旋律も、やたら前衛的な絵画みたいだし、アイドルくんたちが歌うにしては、センチメンタルだったりエモーショナルだったりする要素を極力排除してある、変則的なメロディだと思う。

 音階の階段を降りていったかと思えば、今度はエレベーターに乗っけられたみたいにどんどん上昇していく。

 その「上昇していく感じ」を作っているのが、短いラインを9人で重ねるように歌い継いでいくことの効果だと思う。

 誰かのパートが終わりきらないうちに、次の歌い手がその歌をすべりこませてくる。

 それが何回も続いて、とまらなくなる、止められなくなる。

 もっともっと上へ。螺旋を描いて上がっていく。浮揚していく。高揚していく。

 メロディが、声が、精神と意識が。

 

 ベッキョンは、この歌で6カ所のパートを受け持っている。

 そしてその6カ所すべてにおいて、「違う印象の声」で歌っている。

 「歌いわけ」しちゃってるわけですよ、このひと。

 かろやかにあまく、つよく力をぶつけるように、高らかに、しびれるようにせつなく、消えゆくように繊細に。

 たとえばジョンデもかなり器用で高い技術を持った歌い手だけど、ここまで自由自在に彼自身の声を操作できているかなあ。

 そしてそのすべてを、ベッキョンは、いとも軽やかにやってのけている。

 

 圧巻だと思ったのは、ベクの2つめと3つめのパートの流れだ。

 まず、カイが歌ってるわけだけど、その場所に、切り込むようにしてベクが歌いはじめる。

 歌い出してすぐ、彼は本気の歌声を出してくる。

 そこで一気に、上昇気流がわーっと加速するみたいに声がのぼりつめる。

 で、そのあと。──シウミンとD.O.が主旋律を歌うのだけど、裏でベッキョンが、その主旋律に絡むように、高い裏声を使って歌いはじめる。

 そのときのベクの声が。

 

 今まで聴いたことのない種類の声だった。

 性的な高揚をつよくイメージさせるような、すごく不思議な歌いかた。

 あの歌声のなかでは、歌詞の言葉のかたちさえ溶けてなくなっている。

 強烈な歓喜に裏打ちされためくるめくような声、それは聞き手の私たちのセクシュアルな興奮をも、呼び覚ますかのようだ。

 

 高まって、伸びていく。広がって、上昇する。

 ああ、歌が、声が、音楽が。

 上へ、上へ。空のもっと高いところへ。

 

 次の4つめと5つめのパートで、彼はファルセットをここぞとばかりに使ってくる。

 ありていに言って、このひとが繰り出す震えるようなファルセットは、ひどく性的なものを想起させる。

 こういう、高い技術力にささえられた歌唱は、この年齢のベッキョンだからこそ到達しえた領域の表現なのだろうけれど、真っ昼間の都会の雑踏のなかで耳にするには、不似合いなほどの高い官能を有している。

 そのしたたるようなエロティックな声が、雑踏を歩いていた私に、歩きかたを忘れさせたんだと思う。

 

 最後、6つめのパート。

 ここでは、それまでと全然違う、ひどく繊細な歌いかたをする。

 非常に複雑なメロディラインなんだけど、音節のひとつひとつまで、丁寧に愛撫するみたいな歌いかた。

 彼は、自分の声がもたらす「余韻」さえ計算して歌っているんじゃないかと思う。

 そこにD.O.の「flying up, flying up」という声がかぶさって、楽曲全体が終わる。

 

4. コンコースの片隅で

 コンコースの片隅で、歩みをとりあえず再開させながら。

 やばいなあ、こういうの、と思っていた。

 

 やばいなあ。

 私、けっこう本気でとらわれてしまいそうだなあ。

 

 この歌声を録音したときの彼と、それを日本の都会の雑踏のなかで聴いた私との間には、時間的にも、距離的にも、心情的にもものすごく大きな隔たりがあると思う。

 

 その「隔たり」をとびこえてなお、彼が持っている何かが、私のもとへと届けられたんだ、という気がした。

 

 それってやっぱり、名前をつけるとするなら。

「奇跡」っていうものかもしれない、よね。

 (2017.02.19)

 

(この記事は『CBXに夢中!』1・Baekhyun.1です)

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