"UN Village" released on July 10, 2019, sung by Byun BaekHyun.
- 1. Intoxicating「いけないおクスリ」
- 2. Rhythm 「命脈」
- 3. Quiet 「ひそやかなヴォーカル」
- 4. Sensual 「官能的」
- 5. Groove「グルーヴ」
- 6. Kahlua Milk「カルーア・ミルク」
- 7. Contemporary「同時代的な」
- 8. Byun BaekHyun「いちばん、ベク」
1. Intoxicating「いけないおクスリ」
intoxicate (verb) ;(麻薬・酒などが)酔わせる、中毒させる。(動詞)
(of alcoholic drink or a drug)cause someone to lose control of their faculties or behavior.
(アルコール飲料やドラッグが)人の能力や行動のコントロールを失わせること。
——終始、「いけないおクスリを、キメちゃってる」みたいな曲。
ビョン・ベッキョンの『UN Village』は、聴いていて、精神が酩酊したようになってしまう音楽だから。
「心をつかまれる」とか、「うっとりと、陶酔させられてしまう」とか。
そんな生やさしい表現では、物足りないぐらいの。
——聴覚を通して脳神経へ、向精神薬的なケミカルを注入されて。
正しい思考の力を奪われたあげくに、強烈な精神の高揚を与えられるような。
日常の感覚を麻痺させられて、リズムと彼のヴォーカルに中毒してしまうみたいな。
そういうアッパー系ドラッグ(いや、逆に「ダウナー系」なのか?)で、トランスさせられてしまうように。
摩訶不思議で、抵抗できない魅力。
2. Rhythm 「命脈」
rhythm (noun);リズム。(名詞)
a strong, regular repeated pattern of movement or sound.
定期的に、強く繰り返される、動きや音のパターン。
楽曲を最初に始めるのは、エレキギターから放たれる一音で、それがまるで、「拳銃の銃撃音」のように聴こえて、私は一瞬、はっとさせられます。
間髪入れずに、レコード針のかすかなノイズが、それに続いて聴こえてきます。
そのかすかな「チリチリチリ……」という音を突き破るようにして、再び、エレキギターのイントロダクションが奏でられて、またもや聴き手は、はっとさせられる。
その「はっとした」隙に生じた意識の余白に、すかさず、リズムがすべりこんでくる。
そして、ここからずっと、このR&Bの特徴的なリズムの音が、楽曲全体を通底するように流れ始めるのだけれど。
この「ゆるく刻まれるリズムの音」が、言うまでもなく、この「UN Village」をつらぬくようにして流れる、ひとつの命脈になっていきます。
そして、この「リズムの命脈」に、複雑にからみつくようにして展開していくのが、ベッキョンのひそやかなヴォーカルなのです。
3. Quiet 「ひそやかなヴォーカル」
quiet (adjective);静かな。(形容詞)
1. making little or no noise.
2. carried out discreetly, secretly, or with moderation.
1. 音をほとんど、あるいはまったく立てないこと。
2. 目立たないよう、あるいは秘密裏に、または穏やかさをもって行われること。
「loud / quiet」(音が大きい/静かな)で言えば、「quiet」のほうに分類される音楽です。
歌い出しからしてそうなのですが、楽曲のほとんどの部分で、ベッキョンはひそやかに語りかけてくるようなヴォーカルを用いています。
タイトルでもある「UN Village hill」というサビの部分に、さしはさまれるハミング。
(この部分のベッキョンのハミングを聞くたびに、私は、なんだかそのまま「いっちゃいそうな」気分になる)
要所要所で使われる、アルトの女性声のようなファルセット。
(これほどはっきりと男性的なハスキーヴォイスなのに、どうして私はたびたび、ベッキョンの声に「女性」を感じるのだろう)
——それらは、この楽曲を通底している、夜のようなひそやかさを強めるように、聴き手の耳に届けられます。
4. Sensual 「官能的」
sensual (adjective); 官能的。(形容詞)
of or arousing gratification of the senses and physical, especially sexual, pleasure.
身体的、特に性的な快楽、あるいは感覚が満たされているような、 もしくは、それらをかきたてるような。
むろん、実際には、ベッキョンのヴォーカルは「ひそやかさ」一辺倒ではありません。
ワンフレーズのなかにおいてでさえ、自由自在に音の強弱を変化させるような歌い方を、彼は選択しています。
「え? ここで声を張るの?」
「それで、ここでは、声を絞るの?」
聴き手の意表を突くように、あるいは、予定調和をことごとく崩してくるように、ベッキョンは、大胆に緩急と強弱をつけるタイプの歌い手です。
そのあたりの「自在なコントロール」は、彼の高い歌唱の力があって初めて成立するものだと思うけれど。
ゆるく、けれども強く、刻み続けられるリズム。
止まることなく、揺らぐことなく、確実に。
そのリズムが刻み続ける命脈に、逸脱することなく、ぴったりと合致しているハスキーな声。
そのふたつが溶けあうようにして、強いグルーヴが作り出され、そのグルーヴこそが、ひどくセンシュアルな色彩を、この楽曲に帯びさせていくのです。
たとえば、歌詞のなかにも、MVのなかで、ゆるやかにリズムをとりながら歌うベッキョンの動きにも、直接に性的な意味合いを示唆する表象は、とりたてて見受けられません。
むしろ、安易にセクシュアルな符号は、クールでコンテンポラリーな曲想に逆行するものとして、注意深く、剥離されているような印象さえ受けます。
にも関わらず。
この歌自体も、歌うベッキョンも、どうしようもなく官能的なのです。
すべての思惑を、なぎはらうほどの強烈さで。
5. Groove「グルーヴ」
groove (noun); グルーヴ。(名詞)
《informal》a particular rhythm in popular or jazz music.
《俗語》ポピュラーあるいはジャズ音楽における、ある一つのリズム。
——真昼、一番高い位置にある太陽が、もっとも濃い影を作るように。
恋人とふたりきりでいるときに感じる孤独が、もっとも深いものであるように。
夜の中の昼が最もまぶしく、昼の中の夜がいちばん暗いのは、なぜなのだろう。
6. Kahlua Milk「カルーア・ミルク」
私「ちなみに、Qちゃん的には、『City Lights』ベストはどれよ?」
Q「んー、迷うなあ」
私「だよねえ。今回は私も迷った。6曲とも全部よかった」
Q「うーん、強いていえば」
Q「……やっぱ『UN Village』か」
私「ああ、そうかもねえ」
私「わたしも悩んだけど『UN Village』かなあ」
Q「この曲さあ、ベクが、会社と戦って『タイトル曲にしたい』って主張したんでしょ」
私「いや、別に『会社と戦っては』いないよ(笑)。『会社がタイトル曲として推してきたのは、別の曲だったんですが』っていう、もっと穏当な表現を、彼は使ってましたよ(苦笑)」
Q「『会社が推してきた』ってのは、当然、2曲めの『Stay up』だよね」
私「明言されてないけど、もちろん、そうだろうね」
Q「『Stay Up』も捨てがたかったよ。基本的に、この2曲め、私的にはメロディが、すっごく好み。ベッキョンの声にも合ってる」
私「サビがせつなくて、いいんだ、これまた」
Q「ベッキョンって、パワー系歌唱が得意じゃん? で、これはちょうど、サビにそのパワー系がぶつけられてて、聴いてて単純に『ベッキョン、よき〜♡』ってなる」
私「それに、よく聴いてると、(「Stay Up」は)レコーディング的に、凝った作りしてるんだよ。女性コーラスを投入してるし、もちろん有名ラッパーさんとのコラボ作品だし。……ベクの声を二重録音して、かぶせてみたり、ポイントづかい的に挿入したりして、『作り込んであるなあ』って印象」
Q「会社が本気出して、作ってきてんだね・笑」
私「ベク様のタイトル曲にするなら、SM的にも、ヘタ、できませんからね・笑」
Q「でもさ、『UN Village』は、すうーっと歌ってんだよね。ベク、すっごい薄く、うす〜く歌ってんの」
私「ああ……そういう印象だよね。実際には非常に繊細に歌い分けされてるけど、そういう努力を感じさせない」
Q「『とりま、オレ的に、感性の赴くまま、歌ってみたんで〜』(←妙なイケメンボイスで)」
私「だからこっちも、構えずに聴いてられる」
Q「うすめのカルピスみたいな? いやカシオレ? めっちゃ飲みやすい。すーっと飲めちゃうから、何杯も飲んじゃう、みたいな」
私「うーん……カシオレじゃなくてさ、むしろ」
Q「カルーアミルク?」
私「まさにそれだよ、カルーアミルクっすよ! 今、あなた、私の心を読んだよーなタイミングだったよ!!(笑)」
Q「ぴえー(爆笑)」
私「口当たりよく飲みやすく、しかし、アルコール濃度が高いので簡単に酩酊する」
Q「それ、ブログに書きなよ、ぜひ(笑)」
私「書くわ!」
Q「ていうか、あなたの喋り、普段から『ブログの文章』みたいだよね・爆笑」
7. Contemporary「同時代的な」
contemporary (adjective); 同時代的な(形容詞)
1. living or occurring at the same time.
2. belonging to or occuring in the present.
1. 同じ時間に生きている、もしくは起こっている。
2. 現在に属している、または起こっている。
私「あとね、私は、『UN Village』のほうが、(2曲めよりも)言葉の本来的な意味で『同時代』的だなって思った」
Q「ふうん?」
私「聴き手である私と、ベッキョンが『同じ時代に生きている』って感じが、すごく、した。……EXOの歌で、実際の地名が具体的に織り交ぜられてる曲って、珍しいと思うけど」
Q「ま、そーだね」
私「でも、この曲では、まず歌い出しからして、歌の主人公が『読書堂児童公園』をナビゲーションに入れてみたり、サビで『漢南洞』っていうのが繰り返されたりするでしょ」
私「韓国のローカルな地名が、スペシフィックに使われたことで、『自分がいる、今、ここの地点』と、『彼が歌い、存在している地点』が、同時代上に存在しているんだなっていう、リアルさを味わったのよ」
Q「EXOプラネットじゃなくてね・笑」
私「笑。……あと、曲想自体も、きわめて『イマドキ』のものだしさ」
Q「だよなあ。ベッキョンって、こういうのをやらせると、うまいんだよねえ」
私「同時代の空気感を、ベクがすっと切り取って、『音楽作品』としてパッケージングして差し出してくれたような、そんな気がする」
8. Byun BaekHyun「いちばん、ベク」
Q「私はもっと単純な話で、『UN』が一番、ビョンベクらしいなって気がした」
私「ふうん?」
Q「最初の一音から、ラストの締めかたまで。……6曲のなかで、『UN Village』が、いちばん、ベクだなって」
私「……ああ」
Q「だから、この曲が、このアルバムのなかでベストだと思うんだ」
(2019.07.17)
★今回のおすすめ過去記事は…
このブログのいちばん最初の記事になります。「夜ふチョコがどうやってベク沼に落ちたか」という告白(苦笑)。「Cloud 9」について書いた、2017年2月の記事です。
▼ランキングに参加しています。今回は、長い記事を読んでくださって、どうもありがとうございました。「UN Village」があまりにも素晴らしい楽曲だったので、思いがけず長文になってしまったのですが、思いっきり、とことん書くことができて、書き手としてとても幸せです。お気に召すものがありましたら、強い瞳のビョン・ベッキョンのバナーをクリックしてくださると、すごくすごく嬉しいです。
(画像はすべて、「UN Village」MVを、キャプチャしたものを使わせていただいております。ありがとうございます)
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