EXOにmellow mellow!

EXOがだいすき! CBXに夢中な記事やMV・楽曲評、コンサートレポなど、ファントークを綴ったブログです。SHINeeについても少し。

あのオニュを返して

f:id:yofukashi_chocolate:20180323165259p:plain


 いろんなことがいっぺんに重なって、この8月はすごく忙しかった。

 でもまあ、それは大人の生活にはよくあること。

 ひとつひとつは、全然たいしたことじゃないんです、ほんと。

 仕事のこと、家族のこと、自分自身のこと。

 それが、ちょこっとタイミング的に、ごちゃごちゃっと「いっぺんに」来ちゃっただけ。

 すこしだけ、いつもより多めにがんばれば、何てことない、乗り切れる。

 

 いつもの朝より、すこしだけ早起き。

 普段の日々より、ちょっとだけ多く持つ荷物。

 

 でも、ぜんぜんへーき。

 大丈夫、がんばっちゃうよ、私。

 

 だって、9月最初の週末に、あの輝く5人のコンサートを見にいくんだもの。

 

 ため息をついてしまいそうになると、胸のなかに、カレンダーを思い浮かべた。

 9月2日と3日の欄に、ピンクのペンで「♪」のマークが書き込んである。

 

 

 日本で一番大きな舞台、ものすごくたくさんの、彼らを待ちのぞむオーディエンス。

 あの5人にとっても、きっと、すごく「大きな仕事」だろうなあと思う。

 今ごろ5人とも、暑い韓国で、リハとかダンスとか歌の練習とか、一生懸命、がんばってるんだろうなあ。

 そんなことを考えると、「私もがんばらなくちゃ」って思えた。

 忙しくて暑かったこの8月、何度、そう心のなかでつぶやいて、笑顔と元気を取り戻しただろう。

 

 東京に行くための飛行機、ホテル、もちろんすべて、チケット購入と同時にすぐに予約した。

 お仕事先の相手に電話して、繰り上げてもらった予定、遅らせてもらったスケジュール。

 私にとっては初めてのSHINeeのコンサートだった。

 オニュが私を見てくれるわけじゃないけど、新しいスカートも買っちゃった。

 結構、高くて、買うのに「えい」って思ったけど、でもいいの。

 すごくきれいな色のスカートだったし、「これを着て、あのとき、オニュの歌声をドームで聴いたなあ」って、あとから何度も思うはずだから。

 

    *

 

 「Hello」のMVを見たのが、最初だった。

 すっかりかっこよくなった今の5人から考えると、笑っちゃうくらい垢抜けていない、ほとんど少年みたいな年齢のSHINee。

 それでも、数回見ただけで、ものすごく心に残る歌声の持ち主がいることに気がついた。

 

 歌が異様にうまいのは、この黒い服を着た彼のほうだな。

 だけどこっちの、にこにこしたときに、うんと目が細くなる彼のほうは。

 歌声そのものが、いい。

 ハイトーンで、清らかに澄んでいるのに、やわらかで。ふわりと優しくて。

 歌声を支える歌唱力も高いけれど、それよりもこのひとの、声そのものが。

 

 「きれいな声」? 「クリスタルヴォイス」?

 ──ちがうな。

 そんなありきたりな表現じゃなくて、もっと……なんていうか。

 

 特別な言葉で形容したくなるような、すごく魅力的な声だ。

 

 つよく自己主張していないのに、耳にそっと届けられて。

 そして、胸から消えなくなってしまうような、そんな声。

 

「ああ、その彼、オニュっていう名前だよ。『温かく流れる』って書いて『オンユ』」

「ふーん。芸名?」

「そう。『歌声と笑顔が優しいから』って、事務所がつけた名前なの」

 

     *

 

 そのメールがスマホに届いたのは、昨日の午後7時29分なのだけど、私は仕事中で、見ることができなかった。

 仕事のあと、2つほど用事を終わらせて、メールに気づいたのは9時すこし前だった。

 

 「反省する時間を持ちたいという本人の意思で」

 「出演を見送らせていただくことになりました」

 

 日本語の広報スタッフさんが、知恵を絞りに絞って言葉と表現を選び、細心の注意を払って書いたんだろうなあ、というメールだった。

 8月半ばに、報道があったときから、かなり嫌な予感はしていたのだけど。

 

 希望者には全額払い戻し、という措置は、コンサートの規模や動く金額の大きさを考えると、非常に誠意ある対応だと思う。

 それでも。

 

     *

 

 

 「よくぞこれだけの男の子たちを、SMが見つけたなあ」と思うほど、すべてが揃った5人だった。

 5人ともが傑出した魅力を持っているのに、その魅力の方向性が、5人とも、きれいに異なっているのだ。

 5つの頂点を持つ、五芒星のように。それぞれの頂点にむかって、彼らはその個性を輝かせている。

 そしてその五芒星は、一つの円のなかにきちんと収まるものでもある。

 五芒星の5つの頂点から引かれた線は、同じ円の中心点から出発し、そしてそこへと帰着するから。

 SHINeeって、そんなグループなんだと思う。

 

 彼らの活動を見ているうちに、5人のことを、どんどん好きになった。

 歌唱力とプロデュースのジョンヒョン、文句なしに格好いいミノ、とにかくすべてができちゃうキー、パフォーマンス力のテミン。

 みんな愛すべきキャラクターの持ち主で、そのうえダンスも歌もパーフェクト。

 歌って踊る5人を見ているだけで、とても幸せな気持ちになれた。

 

 コンサートで、5人が一致団結して「グループの力」を見せてくれるのも、もちろん、すごく楽しみ。

 だけど、最初に「あ、この歌声は」と思ったオニュが、一番すきなのは、ずっとずっと変わらなかった。

 初めての彼らのコンサートで、一番楽しみにしていたのは、やっぱりオニュの歌声だった。

 

      *

 

 ショックだった。

 悲しくて、たまらなかった。

 「あの5人に会える」「オニュの歌声が聴ける」って思って、がんばってきた8月が、ひどく悲しい色彩で塗り替えられてしまった気がして。

 

 

 12月がくると、5人のなかで最年長のオニュが、28歳になる。

 来年の4月にはジョンヒョンが、その翌年にはミンキーの2人がその年齢になる。

 5人揃ったコンサートを、日本で見ることができるのは、もう、かなり限られた機会しか残されていない。

 だからこそ、私は「東京ドームの両日」のチケットを買ったのだけど。

 

 同行者のQと電話をした。

 東京に住む忙しい彼女のことを、なかなか電話でつかまえることはできなくて、話せたのは11時を回ってからだった。

 Qと一時間くらいかけて話しあい、私自身も考えた末に、9月3日の分のチケットを、払い戻してもらうことに決めた。

 

「お金なんて、返してくれなくていい」

 電話で話したQが口にした一言が、耳に残って離れなかった。

「むしろ、あのオニュを返してほしい」

 

 子どもっぽい言い草だとは思う。

 でも。

 

      *

 

 スマホ上で払い戻しの手続きをしたのだけど、いくつか所定の操作をして、最後の送信ボタンを押すときに、迷って迷って押せなくなって、「やっぱり両日とも行こうかな」とも思ったりした。

 

 1時間ちかく無駄に逡巡したあげくに、送信ボタンを押したときには、指が痛かった。

 そして、ほんとうにいい大人のくせして、バカみたいなんだけど。

 

 ちょっとだけ、泣いてしまった。

(2017.08.29)

 

↓ランキングに参加しています。お気に召すものがありましたら、応援して下さると嬉しいです♪ 

(この記事は「SHINee」[2]の記事です。)

【Next ▶︎ 次の「SHINee」 記事 [3]はこちらです↓】