EXOにmellow mellow!

EXOがだいすき! CBXに夢中な記事やMV・楽曲評、コンサートレポなど、ファントークを綴ったブログです。SHINeeについても少し。

【SHINee】MV『Good Evening』【迎えにいく】(2)現実感をひきはがす

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I listened to your voice. I found myself waiting for your new music.

あなたの声を聴いた。あなたの新しい音楽を、わたしは待っていたんだと気づいた。

 

★この記事は、「【SHINee】MV『Good Evening』(1)メロディがはじまる」から続いています。もしお読みでない方は、そちらから読んでくださると嬉しいです。

 

現実感をひきはがす

 このMVに散りばめられた、さまざまなギミックは、私たちの現実感をねじまげ、それをひきはがすことにあると思っています。

 

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 緑の照明で色彩がコントロールされた部屋。

 モニターの上にしゃがみこんで、オニュと向き合うテミン。

 所在なげな横顔をこちらに見せているオニュ。 

 同時に、かたわらのモニターにも彼の別角度からの顔が写りこんでいます。

 

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 カメラに寄っていくミノの表情も、同時進行で画面に映し出されています。

 

この夜を追い越して

君を迎えにいくよ

 

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  操り人形みたいな仕草で両手をあげるオニュに、投影されているタキシードの男性の映像。 

 

もしかしたら君が漠然と僕のことを

思い浮かべるかもしれないから

今 僕が君の元へいくよ

 

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 温室の部屋でひとり踊るキー。

 

ひとりじゃ恋しい夜 我慢したくないから

今 君を迎えにいくよ

 

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 温室の部屋で、また、キツネがオニュのことを見つめていて。

 そうすると、雨粒がぽつりと、オニュの手の甲に落ちてくる。

 

だんだんと苦しくなる息が 君と僕の間を狭める

会いたいという君の一言が 僕の心を急かすんだ

 

 

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 温室のなかに降りそそぐ激しい雨。

 

僕はもう少し速度を上げて

窓辺の雨のように 透明なしずくとなって輝いてる

 

 

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 水の中に落ちていく4人。

 

息苦しい話も全部 Oh

 

僕が一歩ずつ近づくほどに

世界の全てが君に変わっていく

 

僕は先に知りたいんだ 君の全ての瞬間を

あの月光よりも

 

 そして、圧巻なのは、ここの箇所だと思います。

 

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 温室のソファに並んですわる4人に、ビニールシートがかぶされて、そこにペンキがかけられていくのですが。

 

I can feel we’re looking at each other through this door

Let’s see…

Your eyes, nose, lips, cheek

 

 

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 4人にかけられ終えたとき、その不思議なペンキは、森の木々を映し出しはじめるのです。

(彼らの足元に大量に散らばっているのは、たぶん、オレンジの皮。)

 

あの空の上よりも遠くで回っていても

雲に僕の心を飛ばして

キラキラとした月と共に光る夜

 

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 ——あれ?

 ふりかえったキーくん、誰かの声が聞こえた、みたいな顔をしている。

 

月の光が射してくる 遅くなる前に君を迎えにいくよ

びっくりする君のことを考えながら 今 迎えにいくよ

 

この夜を追い越して 僕が君を迎えにいくよ

 

迎えにいくよ

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 映像を構成する色調も、周到にコントロールされていて、水色とあざやかな緑の2色が大きな役割を果たしています。

 そこにときおり、アクセントになる赤やオレンジや白がさしこまれてきて、それが目を惹きます。

 オニュの橙色の髪、ミノの白いスーツ、キーのカーマインのズボン、テミンのピンクに彩られた唇。

 

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 ダンスも、不思議な印象でした。

 カムバステージでのダンスも見たのですが、操り人形みたいな、不可思議なカリオグラフィーです。

 空間の重力が狂っているせいで、彼ら自身の動きを制御できないような。

 あるいは、いけないお薬を飲んでしまって、酩酊しているような。

 水の中で溺れて、沈んでいくひとのような。

 アクションの緩急もかなり奇妙です。キレのいい、速い動きがビシバシと続くかと思えば、スローモーションで撮影したみたいな、ひどくゆっくりした動きが繰り出されてきたり。

 

 

 いくつものモニターが置かれた部屋、そのモニターに映しだされる彼らと、部屋の中にいる彼ら。

 4人が覗き込む井戸、水の中に沈んでいく4人の体。

 オニュと目があうキツネ。

 温室で、ビニール越しにペンキをかけられていくと、そのペンキが「森の中」を映し出していって、その不思議な力を使って彼らは、あの森の中へと至る方法を見つけたかのようにも見えます。

 

 どのシーンに注目しても、見ている、聴いている私たちの持つ現実感を、巧妙にねじ曲げていくような、そんな映像だと思いました。

 ねじ曲げて、役立たずにしたあげくに、その現実感を手放しなよ、と誘いかけてくるような。

 

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 このMVが描き出そうとしているのは、今、私たちがいる「現実の世界」から離脱して、「異世界に入り込むこと」なのだと思うのです。

 現実世界でぽっかりと口をあけた、何らかの入り口(それは井戸かもしれない)。

 何らかの手段(体に不思議なペンキをかけられること、かも?)。

 何らかの使い手(温室に現れたキツネ?)とコンタクトして。

 「ひどく不思議な世界」に入り込むこと。

 

 なぜなら、そういう「現実ではない世界」でしか——「私たちの心象のなかに生まれた世界」でしか、私たちは、SHINeeと「会う」ことができないのですから。

 

 いえ、ここは肯定の条件節を使って、言い直しておくべきでしょう。

 すなわち、「私たちの心象のなかの世界」であるならば、私たちは、「SHINeeに会うこと」ができるのです。

★歌詞の日本語訳・画像はお借りしています。ありがとうございます。 

 

(この記事は「SHINee」13です。)

【Next:次の記事は、夜ふかしチョコレート(このブログの筆者)からのご挨拶です。】

 

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