EXOにmellow mellow!

EXOがだいすき! CBXに夢中な記事やMV・楽曲評、コンサートレポなど、ファントークを綴ったブログです。SHINeeについても少し。

【SHINee】MV『Good Evening』【迎えにいく】(1)メロディがはじまる

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 If you hadn't come here,  I wouldn't have realized that I had been waiting.

自分が待っていたことにさえ、気づけなかった。あなたがここに来てくれなかったら。

 

「難しい」アルバム 

 

 SHINeeの6枚目の韓国アルバム、『The Story of Light』が出るんだ、と知ったとき、私が反射的に考えたのは、「難しいな」ということでした。

 

(このアルバムは、かなり変則的な発売のされかたをします。——まず、『The Story of Light』は、3枚のミニアルバムに冠されたシリーズ名。EP1・EP2・EP3と、5曲ずつが収められた小さなアルバムが、3枚、時期を少しずつ変えて、出ることになっています。)

 

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 5人だったSHINeeが4人になってしまってから、(実質的に)初めて世に問う「新しいアルバム」です。

 そして、彼らのデビュー10周年を記念するアルバムでもあります。

  

 SHINeeにとっては、「制作するのが難しい」アルバムでしょう。

 ジョンヒョンが担っていた役割は、多岐にわたっていて、しかもとても大きいはずで、彼が「もう、いないこと」をひしひしと感じながら表現活動をする、というのは、(彼ら4人のみならず、周囲のスタッフも含めて)大きな負荷のかかる仕事であることは容易に想像ができます。実質的な仕事面から言っても、精神的な面でも。

 

 「期待させるのが難しい」アルバムでもあると思いました。

 光り輝く5人が好きだった、というファンは、きっと多いことでしょう。

 ジョンヒョンがいないのなら、新しいアルバムを聴きたくない、と考えてしまうファンもおそらく少なからぬ数で存在するはずで、けれどもそれを止めることなど、誰にもできはしないのです。

 

 そして、私たちにとっては「楽しむのが難しい」アルバムだな、と思いました。

 力強いのに繊細な、あの特徴的なジョンヒョンのヴォーカルを、どうしたって思い浮かべてしまうはずだからです。

 「ああ、ここのパートを彼が歌ったら、どうだったかな」とか、「4人分の声しか入っていないな」とか。

 聴いたなら、彼の不在を強烈に感じてしまうだろう、と思いました。 

 そして、「ジョンヒョンがいないこと」を、再び味わいながら聴いたところで、私がかつてSHINeeの楽曲から得ていた「わくわく」や「ときめき」を、得られるでしょうか?

 

まだ、痛い。

私「Qちゃん、私、『From Now On』、もう買わないつもりだよ」

Q「そっか。私も、正直、(聞くことが)ムリかもねって気がしてた」

私「東京ドームから帰ってきたときは、『買う』!って心に決めてたけどね。……買ったところで、ちゃんと聞いたりできないと思う」

 

 ——その少し前に、私は、たまたまYouTubeで、「Get the Treasure」のMVを目にしていました。

 CBX「Blooming Day」のMV評をブログに書くために、画面の細部まで確認したくなって、自分ののパソコンではなく、リビングの大きなテレビ画面でyoutubeを再生させたのです。

 そのせいで、普段とは異なるメニューが再生されてしまい、私自身も予期しないまま、「Get the Treasure」のMVが映し出されてしまったのです。

 

 この日本語曲のMVが、5人で撮影した最後のMVになってしまいました。

 途中で停止させてもよかったのですが、結局、最後まで見ました。——自分でも、まさか、と思いましたが、バカみたいに泣いてしまいました。

 格好いいうえにかわいいテミン、たまらなく色っぽくて美形のキー、ありえないほどハンサムなミノ(足がこれまた、長い!)、私が大好きなオニュ、そして。

 生きているジョンヒョン。

 全員スーツでキメていて、画面のこちら側を(つまりは私を)はっきりと見すえるようにしながら、語りかけるように歌ってくれています。

 完璧です。

 衣装もダンスも、歌も音楽も、MVを流れるストーリーも、セットも。

 そして、何より、彼ら5人が。

 完璧だから、胸が痛くてたまらないのです。

 

     *

 

Q「そうだね。……私にとっても、あの2月の東京ドームが一区切りになった気がする。あれで、お別れをしたんだよ、ジョンヒョンに」

私「うん。そうだね」

Q「大学の友達に、ジョンヒョンのファンがいて」

私「うん」

Q「彼女はもう、ペン卒するって。——私とかって、結局、EXOとの掛け持ちだったけど、彼女のほうは高校の時から、シャオルひとすじの子だったんだけど」

私「ああ、Qちゃんが、(2月の)東京ドーム2日目、一緒に行かないかって誘われてたひとだね」

Q「そう。彼女は『ジョンくんがいないSHINeeは、もう聞く意味がないから』って」

 

    *

 

 そんな会話を交わしたQから、『The Story of Light』を聴いてほしい、というラインが頻々と入りはじめました。

Q「聴くべき」

Q「名作。もうここ2日ぐらい、私はSHINeeしか聴いてない」

Q「聴かないと後悔するレベル」

Q「あと、MVも見て。絶対、見て」

Q「歌詞がまたいい。すごくせつない」

 

 そんなふうに、Qに強くすすめられて見たMV『Good Evening』なのですが。

 

 ——そこには、ひどく不思議な世界が広がっていました。

 

ひどく不思議な世界

 イントロから、とても印象的なシンセサイザーによる3音が繰り返されます。

 サビでも使われているリフレインです。

 それが、この楽曲に強い疾走感を与えているのですが、同時に、現実から遊離していくような感覚をも、聴いている私の耳に送り込んでくるのです。

 

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 MVの冒頭は、大きな円卓のある部屋からはじまります。

 テレビのモニターとビデオカメラが、5、6台設置されています。

 部屋の天井には、やはり円形の照明が光っているのですが、全体が、緑の照明で照らされていて、すべての色彩がグリーンによって制御されているような印象です。

(ダンスシークエンスのときは、ここから円卓・カメラ・モニターがすべて取り払われ、照明の色が青に切り替えられた状態になります。)

 

 

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 2つめに登場するのは、椅子が4つ置かれた、ターコイズブルーのフロアが広がるセット。

 この椅子が、ダンスのカリオグラフィーで重要な要素を果たしているので、バックダンサーを加えたダンスシークエンスは、ここで中心的に撮影されています。

 オニュ、キーの衣装は水色、テミンはグレーのスーツ。

 そのなかでミノだけが白いスーツを着ています。青いアルファベットがプリントされた白いTシャツを中に合わせていて、彼の背の高さが際立って、すさまじくクールでエレガントです。

 

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 もっともメインで撮影されているのが、この温室のように見えるガラス張りの部屋。

 緑の植物が写り込んでいるのですが、それらは、この温室の外側を取り囲むように置かれています。

 4人がてんでんばらばらに過ごしているこの部屋の用途は、まったくの不明ですし、もう少し踏み込んで言えば「相当に奇妙」です(曲のまんなかあたりで、この温室のなかに雨が降り始めるくらい)。

 ソファやベッド、椅子、円形のラグに、古ぼけた白いピアノ(あろうことか、テミンが靴で乗っかっていて、この少しあとに、キーがステッキで叩き壊しはじめる)。

 居室にあるような家具が無秩序に配置されているのですが、それといかにも不似合いな、テレビのモニターと三脚付きのビデオカメラが、このガラス張りの温室のなかにも置かれているのです。

 

メロディがはじまる

 

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穏やかな暗闇がまた遠くで

グルグルと回っているだろ 少しずつ

 

 ——メロディ歌い出しはテミン。

 唇にさされた濃いピンクの口紅が、背景に映る水色とコントラストをなして、あざやかなアクセントになっています。

 

 

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ビルに遮られた夕焼けの端に

君を思い浮かべるんだ

 

 次はミノ。

 無造作に、左手に持ったオレンジをかじっているのだけど、彼のすわるベッドのまわりに、その皮が大量にちらばっています。

 歌詞とリンクするみたいに、西日のように強い光が彼の頭上から落ちてきていて、髪の色が夕焼けのような明るい色に変えられています。

 

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 その次に歌うのは、キーなのですが、彼はかなり印象的な登場のしかたをします。

 まず、テレビのモニターのなかに立ち上がるキーの姿が映し出されて。

 

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暗闇を追い越して この夜を開く

僕が先に

 それから、モニターの向こうから、立ち上がったキー自身が、意を決したような顔つきでこちらに向かって歩いてきます。でも、なぜか、彼の手にはステッキ。

 このあたりで、ガラス張りの部屋の中は宵闇が訪れたように暗くなってきていて、ランプの暖色のあかりがともりはじめていきます。

(それにしても、キーの衣装の、このカーマインのパンツといい、丈の長いブルーのストライプのシャツといい、ネイビーのワークシャツといい。すごくキュートでパーフェクトにキマッている)。

 

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君に会いたいんだ  

今 僕は oh

 

 最後に登場する歌声がオニュです。

 緑の葉っぱの向こうから、画面のこちら側をうかがうようなニュアンスで、彼の顔がのぞきます。

 上の写真で紹介した場面で、不思議そうな表情のオニュの視線の先には、小さなキツネがいます。

 いかにも「CGで描いてみました」的な造作の子狐ですが、そのキツネが、現実にはあり得ない動きで、こちら(=オニュ+私たち)を見つめ返してくるので。

 このシークエンスまでで、登場する4人が巧妙にねじ曲げてきた現実感は、ここで私たちから、ゆっくりと剥離されていくのです。

  

月のひかりが射してくる

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 MVとしては、ここからダンスシーンが始まります。

 円卓の部屋からモニターと円卓を取り払い、照明を緑からブルーに変えたセットで。

 もう一つは、緑の植物が周囲を取り囲んだターコイズブルーのフロアで、バックダンサーたちを従えて。

 2種類のセットで踊る彼らの姿に、温室の場面が挿入されていきます。——テミンが靴で乗っかっていたピアノを、キーがステッキで叩き壊していく、そういう映像なのですが。

 

月の光が射してくる

遅くなる前に君を迎えにいくよ

 

びっくりする君のことを考えながら

今迎えにいくよ

 

迎えにいく 迎えにいく

他の理由なんてひとつもない

 

 サビ前のタメのメロディなのですが、わりと長いシークエンスです。

 韓国語のタイトルになっている「迎えに行く」というフレーズが、何度も繰り返されて、強く印象に残ります。(韓国語を理解しない私の意識にも、「同じフレーズが何回も繰り返されている」というのが、はっきり焼きつくほどです)。

 ここは、ちょっと変わった歌われ方をしています。——基本的に同じ旋律がユニゾンで歌われているのですが、オニュとテミンが(キーも?)ファルセットでオクターブ上を歌い、その同じメロディをオクターブ下で、キーと(←たぶん)ミノが彼らの本来的な声で歌っているのです。

 途中で、ミノの声だけが、そこからばらけていきます。主旋律のコーラスに参加しながらも、そこに合いの手を入れるようにして「迎えにいく」という歌詞を、彼の甘い声が繰り返します。

 そして、ラスト、テミンがこのシークエンスに終止符を打つように、「迎えに行くよ」という歌声を、ぱしんとぶつけてきます。

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 束ねられ、重ねられた歌声。

 SHINeeの楽曲には、ユニゾンが使われることがとても多いです。

 この歌唱法が特別な力を持つのは、その声が「広がり」を持っているからです。複数の人間の喉は、一つの喉が持ち得ない「広がり」を内包していて、そこに特別な力が生まれてきます。

 その特別な力を、効果的なレバレッジとして楽曲の中に組み込むという手法を「SHINeeは、かなりしょっちゅう使ってくる」のです。

 

(いや、これ、いったいどうしてなんでしょうね? 気づいただけで、それがなぜなのか、どういう意味を持つものなのか、まったくわからないんですが。

 実は、EXOの楽曲では、ユニゾンはほとんど使われません。EXOとSHINeeじゃ人数が違うから、というのもあるのでしょうけれど、CBXも全然使わない。)

 

 そして、ここではさらに、それが「オクターブ違いのユニゾン」になっています。

 高い音域が出せるテミンとオニュがファルセットを使い、キーとミノに低い音域を割り振ることで、それが可能になっています。

 単純なユニゾンであるよりも、奇妙な浮遊感、現実から遊離していくような感覚をもたらしていると思うのです。

 

 ——では、なぜ、こんなに現実から遊離していくような「ひどく不思議な世界」のモチーフが、このMVでは繰り返し、使われているのでしょうか?

 

★歌詞の日本語訳・画像はお借りしています。ありがとうございます。

 

(この記事は「SHINee」12です。)

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