EXOにmellow mellow!

EXOが好き! CBXに夢中な記事やMV・楽曲評、コンサートレポなど、ファントークを綴ったブログです。SHINeeについても少し。

【セフン+スホ+ベッキョン+チェン+(シウミン)】2つの椅子と3つのコーヒー

『2つの椅子と3つのコーヒー』は、CBX成立までの過程を描いたファンフィクションです。以下のお話の後編にあたりますが、独立して読むこともできます。

(お読みでない方は、こちらも、ぜひ、どうぞ♡ すごく短いです♪)

2つの椅子と3つのコーヒー

 

「あー、もー、ジュンミョニヒョン」

 やってきたベッキョンが、スホとセフンの前で頭を抱えてみせた。

 

「どうした?」

 答えたのはスホである。

「ヒョン、たすけてー」

「何が」

「だって俺、もうどうしたらいいか、わっかんないんだもん」

「だからベッキョニ、何がだよ?」

 

 

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 宿舎には簡単なキッチンがある。

 大型の冷蔵庫がでんと控え、最新型の電子レンジが鎮座しているのだが、シンクの脇に、それらに対していかにも貧弱な、小さなテーブルが置かれている。

 70センチ四方ぐらいの、人間ふたりがすわったら、狭く感じるほどの白い簡易テーブル。

 備えつけの椅子は2脚しかなく、しかも折りたたみだ。

 

 おそらく、このテーブルは、食事や談笑などの「憩い」のためにあるわけではなく、「冷蔵庫から取り出した食物を、温め直すために電子レンジに入れる際の(あるいは、取り出した際の)一時置き場」的な目的で、ここに置かれているのだろうけれど。

 宿舎にいるとき、スホはたいていの時間をこのテーブルで過ごす。

 その理由をスホは口にはしないが、わりと明白だとセフンは思う。

 彼とセフンが二人で使っている居室が、あまりにもとっ散らかっているので、「まともな人間なら、5分といられやしない」(これはミンソクの言葉だが)からだ。

 

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 というわけで、セフン自身も、このキッチンのテーブルにすわっていることが多い。スホと一緒に。

 あのとっ散らかった部屋で、自分ひとりで膝を抱えていたところで、味気ないだけだし、特に話をするわけではなくても、自分の兄と同い年のこのひとと一緒にいるほうが、セフンにとっては好ましかった。

 そして、そんなふうにして二人がすわっているキッチンのテーブルへ、何か悩みごとを抱えたらしいベッキョンが、やってきた──のだが。

 

「手詰まりっていうか、八方ふさがりっていうか」

 ハア、とベッキョンは、大仰にため息をついて見せるので。

「ヒョン、なにか飲みます? コーヒーとか、お茶とか」

 椅子から立ち上がりながら、セフンがそう尋ねると。

「ああ、ありがと。コーヒーちょうだい」

 ふたつ年上の彼は、にこっと、人なつっこい笑みを浮かべてくれた。

 

「インスタントでいいですか?」

「うん」

「あ、俺も。セフナ、俺にもコーヒー入れて」

「はいはい」

 スホも便乗してそう頼んできたので、セフンは、ケトルに水を入れてコンロの火にかけたのだが。

 そのすきにベッキョンは、セフンがすわっていた椅子に、ぱっと腰かけてしまった。

 

 ──あら。

 俺がすわるところがないじゃん。

 

 そう思ったけれど、「椅子の数が足りないときに、立っている羽目になる」という事態は、マンネにとっては慣れっこなので、特に異を唱えず、おとなしく立ったままシンク台にもたれた。

 

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「ねえ、ヒョン、聞いてくださいよー」

 テーブルの上で腕を組んだベッキョンは、スホのほうへ身を乗りだすようにした。

「例のユニットの件なんですけど」

「うん」

「ミンソギヒョンから、話、聞いてますよね?」

「聞いてる」

 

 ──ユニット?

 「例のユニット」って、なんのことだ?

 

 セフンは疑問に思ったけれど、スホのほうは事態を把握しているらしい。

 

「あー。ベッキョニ、セフナを話に混ぜてやっていい?」

 スホがそう断って、蚊帳の外にいたセフンを、話の輪の中に引き入れてくれようとした。

「いいですよ、もちろん」

 ベッキョンがうなずいたので、スホが状況をかいつまんで説明してくれた。

 

 ミンソクとジョンデとベッキョンの3人で、ユニットを組んで活動をしないかという話が持ち上がっていること。

 会社に話を持っていく前に、3人の意志を固めておく必要があるのだが、彼らの間で、話がまだまとまっていない。

 ベッキョンとミンソクは乗り気だが、ジョンデは慎重な姿勢を取り続けたままだ。

 セフンにとっては、初めて耳にする話だった。

 

「ジョンデがなかなか、うんと言ってくれないんです」

「そうなのか」

「ええ。昨日なんか、俺、あいつに、ガチでキレられて」

「ん? 『ガチでキレられる』って、どういうこと?」

「『もう俺に電話してくんな、うるせえんだよバカヤロウ』──って怒鳴られました」

 ベッキョンにしてはめずらしく、しゅんとした表情だ。

 あの人当たりのいいジョンデが、そんな言葉遣いで怒鳴る、というのが、セフンにとっては、ちょっと想像がつかないような事態であるのだが。

 

「電話? なんで電話なんかで話してんの、おまえらふたり?」

 しかし、スホにしてみれば、ジョンデのその「ガチでキレた」態度もさることながら、彼ら二人の会話に電話が介在していることのほうに、むしろ疑問を感じたらしかった。

 ジョンデとベッキョンは、宿舎で同室を使っていて(ほかにギョンスとミンソクがいるが)、仕事も同じスケジュールであることが多いので、彼らふたりが顔を合わせている時間はとても長い。

 すなわち、「電話で話す」という必要性が、ほぼ、ないはずなのだ。

 

「あいつを説得するなら、一対一で話したかったんです」

「そうか」

「でも、ナニゲに二人きりになれる時間って、そんなにないし」

「まあ、そうかもなあ」

「だから電話で話そうと思ったんですけど。ジョンデが『1日に10回も、電話かけてくんなバカ!』って」

「10回? 1日に?」

「いえ、実際には7、8回ですよ?」

「じゅうぶん多いよ、おまえ、それは」

「えー、だってー」

 スホは、そこで肩を震わせるほど笑い出したのだが、ベッキョンのほうは不服そうに頬をふくらませている。

 

 ケトルの笛が高い音をたてたので、火を止めて、セフンはカップを3つ用意した。

 インスタントコーヒーの粉末に湯をそそぐと、ふわん、とコーヒーのいい匂いが、冬の夜のキッチンに広がった。

 

「入りましたよ、コーヒー」

 熱いカップを3つ、テーブルの上に置いた。

「セフナー、俺のに、牛乳いれてちょうだい」

 すかさずベッキョンから注文が入る。

 年下の自分に「命令する」というより、子どもがお母さんに甘ったれているような物言いである。

 だが、セフンが冷蔵庫から牛乳を取り出すには、スホが通路を塞いで椅子に腰掛けている格好なので(基本的に、この場所は、3人の男が座って話すには狭すぎるのだ)、どうしようかな、と思っていると。

 何も言わずにスホが椅子から立ち上がった。

 そして、スホ自身は、コーヒーには入れない牛乳を、冷蔵庫から取り出して、ふたつのカップに注ぎ入れる。──ベッキョンとセフンのぶんのコーヒーに。

 

「ミンソガから、ジョンデに言ってもらったら? ……あのひとは、ユニットの計画に乗り気なんだろう?」

 冷蔵庫に牛乳パックを戻したスホは、折り畳みの椅子に再びすわったのだが。

 今度は、座面の左半分だけにちょこんと腰かけている。

 右半分、すなわち、セフンが立っている側の座面を、半分、あけておいてくれているらしい。

 それを理解したので、セフンは、スホと同じ椅子の右半分にすわった。

 ひとつの椅子に、2人の男で腰かけるのは、かなり窮屈で不安定な状態だったのだが、この窮屈さと不安定さを、隣にいるこのヒョンも、おそらくは感じているんだな、とセフンは思った。

 

「そんなの。俺、もう、とっくにミンソギヒョンに頼んでますって」

 コーヒーをひとくち飲んで、ベッキョンが言った。

「ふうん?」

「『ジョンデを説得してください』って。……だけど、あのヒョン、冷たくて」

「冷たいって? ミンソガが、か?」

「『誰かに説得されて、ようやく変わるような意志だったら、最初からユニットなんか組まない方がいいよ』って。……『ジョンデ自身の中から湧き出た気持ちじゃないと、結局のところ、ダメだから』って」

「あー」

「秒で断られました」

「そうなの。……てか、ミンソガらしい言葉だなあ」

 

 ベッキョンの話を聞いていたスホは、そこで、ははは、と(ハンサムな御曹司顔で)笑ったのだが。

 

「……ジョンデ、絶対に、もっと歌の仕事、したいはずなんだ」

 コーヒーカップを両手で包んで、ベッキョンが言った。

「今よりもっとたくさん、もっといろんな種類の音楽に挑戦したいはずだし、その能力だって、ある」

 彼の視線は、コーヒーカップのなかだけに向けられていて、まるで独り言を口にしているようだった。 

 

「なのに、なぜかジョンデは二の足踏んでる。……なんで、なんだろうな? 『自信がない』って、ジョンデは言うけど、なんでそんなに、自分の能力を過小評価しちゃうのかな」

 ベッキョンは、そこで、はあ、とため息をついた。

 彼自身の考えのなかに沈み込んでしまっているように、年下のセフンに、ふだんのベッキョンがあまり見せることのない、無防備な表情をしている。

 

「時間をあげたら? ジョンデに」

 スホが口をひらいた。

 彼らしい、優しい声だった。

「あのさ。……ジャンプするときって、その直前、いったん、体をぎゅっとかがめるじゃん?」

「はい」

「たぶん、ジョンデは、今、それなんだよ。これからジャンプしようと思って、あいつは今、体を、こうやって、低くかがめてんの」

 右半分だけの椅子に腰掛けたスホは、「こうやって」と、彼の両腕を自分の体にぎゅっと引きつけて、体をかがめる動作をしてみせた。

 

「……そんなもん、ですかねえ?」

 コーヒーカップに落とされていたベッキョンの視線が動いて、彼はスホを見た。

「うん。たぶん、そうなんじゃないかと思う。自分を過小評価してる、とかじゃなくて、次のジャンプのために、力をためてる」

「……ええ」

「だからそのときに、他人から、ごちゃごちゃ言われたくないんだよ、たぶん」

「はあ」

「おまえは、『ジャンプしよう』と思ったら、次の瞬間、ポーンと飛んでるタイプだけどな」

「いや、俺、そうでもない…と、思いますけど」

「いーや、おまえは、そう。俺なんかから見ると、羨ましいくらい、躊躇なく飛ぶよ、おまえ」

 そういうと、スホは、ハハハ、とまた笑い声をたてた──のだが。

 

「あ、ベッキョニ。……ここにいたのか」

 そのとき、キッチンに4人目の人物がやってきた。

 いまさっきまでの話題の中心の的、キムジョンデである。

 彼は、スホとセフンに、笑顔で短く挨拶したあと、ベッキョンを見やった。

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「帰ってきてるはずなのに、ベッキョニ、俺たちの部屋にいないからさ」

「あ。……ジョンデ」

「おまえ、風呂でも入ってんのかと思ったよ」

 そう告げるジョンデの声には、単に、いつものほがらかさだけがあった。

「いや、……てか、あっちの部屋にいづらくてさ、俺」

  むしろ、ベッキョンのほうに、ふだんの彼らしからぬ気後れのようなものがあったのだが。

 「なんでよ」

「おまえのこと、怒らせちゃったでしょ?」

「あー。……だって、しつっこいんだもん、おまえ」

 ジョンデが笑い声をたてた。

 屈託というものがない、澄んだ笑い声だった。

 

「行こうぜ、ベッキョニ」

「あ? ……ああ」

「向こうの部屋で、ミンソギヒョンが待ってるから。ちゃんと3人で、今夜、話そう」

「あ……うん。今、いく」

 そういうと、ベッキョンは、ぱっと椅子から立ち上がった。

 彼の視線は、ジョンデにしか向けられておらず、ジョンデの目もベッキョンだけを見ていた。

 

 その瞬間。

 セフンは不思議な光景を目にしたような気がした。

 ジョンデとベッキョンのふたりを包んでいる空気が、ひらりとひるがえって、2人の人物が手と手を取り合うように、たがいに融合した──ように、見えたのだ。

 

 あ。

 なんかが、はじまる……の、かも。

 ──ひらめくようにして、セフンはそう思った。

 

「すみません、ジュンミョニヒョン。ベッキョニのこと、ちょっと借りていきます」

「どーぞ。べつに俺たち、たいした話、なにもしてなかったし」

 ジョンデにそう答えたスホは、すました顔でコーヒーカップに口をつけた。

 

 ジョンデとベッキョンが出ていくと、キッチンの白いテーブルには、コーヒーカップが3つ、残された。

 スホのブラックコーヒー、セフンの手元のコーヒー、そして、半分だけ残されたままの、ベッキョンのコーヒー。

 半分だけのコーヒーカップの向こうに、誰も座っていない椅子が、ぽつん、とある。

 

  すわるひとのいなくなったその椅子に、自分が移動すればいいのだが、セフンはそうしなかった。

 2人の人間がすわるには、どう考えても不安定で窮屈な一つの折りたたみ椅子に、セフンとスホはすわり続けた。

 

「あーあ。……このコーヒー飲んだら、俺も風呂はいって、寝よ」

 スマホをスクロールしながら、スホはあくびを噛み殺している。

 そういう冬の夜のできごとだった。 

 

 

 ──『2つの椅子と3つのコーヒー』fin.

 

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作品のあとがき

 EXO-CBXは、本人たちが「この3人でユニットを組みたい」と決意して、「3人で何度も話し合って、会社に話を持って行きました」という経緯で成立しています。

 それがどういう話し合いだったのか、その内容は一切つまびらかにされていないので、もちろん、この「2つの椅子と3つのコーヒー」は、100パーセント、私の脳内から生まれたフィクションなんですが、いやもう、こういう想像をしているのが、私は楽しくて楽しくて…♡

 何度も愛を叫んでいるので、「えくめろ」の読者さまには、ご存知のことだと思うのですが、私の中で、EXO-CBXは非常に大きい存在です。

 そして特に、ベッキョンとジョンデの、ヴォーカリストとしてのライバル関係に、非常にわくわくドキドキするものを感じていまして、とにかく、この2人がいなかったら、私はこうもEXOに入れあげていません。(遠い目)

 「ユニット構想に関して、ジョンデにフラれ続けたベッキョンが、スホに相談し、最後にジョンデがベクを迎えに来る。その一部始終をセフンがずっと見ている」──という構図のこのフィクションを、最初に考えたのは2018年の8月ごろです。(実際に半分ぐらい書いていました)。

 このお正月休み、ようやく時間が取れて、なんとか書き上げました。──「登場人物が4人いる」「原稿用紙12〜3枚の長さ」「冗長にならないように、なるべくシンプルな文章」で書きたかったので、推敲のほうに、たぶん、皆さまが想像なさるよりも、かなりの時間がかかっています。おそらく執筆の2〜3倍の時間でしょうねえ。「あ〜しんどかった〜」と思っています(笑)

 あ、でも、「しんどかった」とか言っても、楽しい「産みの苦しみ」というやつです。もちろん、ニヤニヤニヤニヤしながら書いていましたよ(←キモい)。

(2020.01.02)

 

 

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(すみません……たくさんお手紙をいただいているので、お返事を書かなくちゃ…と思うのですが、お時間をいただいています。自分でも、どうしてこんなに書くのが遅いのだろう…と申し訳なさでいっぱいなのですが、もう少し待っててくださると嬉しいです。)

★ようやく、お返事を書きました…!

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