There is something we can see only when we are in a temporary blindness caused by too much brightness.
まぶしすぎて、一瞬、目が見えなくなるときにだけ、見ることができるものがある。
★この記事は、以下の記事から続いています。お読みでない方は、まず、そちらから読んでくださると嬉しいです。
【MV評】『Good Evening』①メロディがはじまる (2018.06.07)
【MV評】『Good Evening』②現実感をひきはがす (2018.06.08)
*
——もう、SHINeeのファンでいること自体を、やめようかな、と考えたりすることもありました。
今年2月26日、東京ドームのコンサートに行って、真摯な4人の姿から、私は確かに大きな感動を得ることができました。
けれども。
時間がたつにつれて、それはやはり薄れていき、彼らの活動を応援することの意味がよくわからなくなっていました。
なぜって、彼らのことを考えると、どうしたって胸が苦しい。つらい。
5人の姿を見ると、「ああ、この頃はこんなに楽しそうなのに」と思い、4人の姿を見れば「ああ、4人しかいない」と反射的に考えてしまう。
曲を聴けば「こんなにすごい才能があるひとなのに」と涙ぐんでしまうし、5人の声が、精巧なパズルのようにパーフェクトに組み合わさっている楽曲を聴くと、「もう、こんなに『完璧な世界』は2度と作れやしない」とくやしくなってしまう。
そういう重苦しい感情を、もう、手放してしまいたい、と思ったりもしていました。
——だから、「The Story of Light」を、Qから強くすすめられたときにも、私はいったん「聴けるかどうか、わからない」という言葉を彼女に返しました。
私は、SHINeeの新しい音楽を、聴きたいかのかどうかさえ、自分でもよくわからないぐらいだったのです。
そんな私に、Qは、強い言葉をぶつけてきました。
「聞くべき」
「名作。私はもうここ2日間ぐらい、SHINeeしか聴いてない」
「聞かないと後悔するレベル」
——Qがそれほどまでに言うのだから、と思った私は、「Good Evening」を聴いたのですが。
彼らの新しい音楽
韓国語がわからない私には、最初にこの曲を聴いた時にわかっていたのは、『Good Evening』というタイトルだけでした。
「いったいなにが『こんばんは』なの?」
そう思って聴きはじめてみました。
強い疾走感を持つ曲調。
それと同時に、なんらかの痛みに裏打ちされたようなメロディラインで、その旋律が聴いている私の胸に、せつなさをもたらすのです。
聴いただけで鳥肌がたちました。
歌詞の意味が全くわからないにも関わらず、メロディがすばらしくて、聴いていると身体的な感覚として「快」を得られるのです。
特に4人がユニゾンで歌うシークエンスがすばらしかった。
そのあと、声がばらけだして、サビへとなだれこむわけですが、そのサビを歌うオニュのあたりで、バカみたいですが、涙がこぼれました(オニュペンなんです)。
「いいなあ、この曲」
「オニュの声、好きだなあ。やっぱり、大好きだなあ」
何度もそんなふうに、心の中でつぶやきました。
多くのファンの方が思うことでしょうけれど、オニュの声は、優しい。
とても、とても優しい。
強く高らかに張り上げたとしても、はりつめずに、ふわーっと力が抜けているように耳に届いて、その「優しい感じ」だけが耳の中にやわらかく残ります。
きれいで端正な声でもあります。
純粋であたたかな声でもあります。
メロディに軽やかに彼の声を乗っけていく感じ、その歌い方も大好きなんですが、私はたぶん、オニュの声そのものがとても、とても好きなんです。
そして、「私は、SHINeeの音楽が大好きだ」ということも、改めて思いました。
SHIneeという存在を知って、彼らのことを好きになっていったときのように。
「View」「Replay」「Your Number」「Sherlock」「Dream Girl」「Everybody」「Lucifer」「Hello」「Why So Serious?」
あれほどMVを繰り返し見たのも。
最初に惹かれた理由も、夢中になっていった理由も。
好きでいつづけた理由も、たくさんの幸せをもらってきた理由も、すべて、「SHINeeの音楽が好き」という、その一点から出発して、その一点へと帰着するのです。
——そうか。そうだったのか。
指で涙を目から払いながら、私は、わからなかった答えが、解き明かされたような気がしていました。
ああ、自分でも気づいていなかったけれど。
私は、SHINeeの新しい音楽を、待っていたんだ。
「All Day All Night」「Good Evening」「 Undercover」「 JUMP」「 You&I」
彼らの新しい音楽で、圧倒されるようにして、否応なしに、つよく。
心を奪われたかったんだ。
テリロガ?
「Good Evening」を何度か聴くにつれて、「この『テリロガ』って何だろうなあ?」という疑問がわいてきました。
テミンの、ミノの、キーの、オニュの声で、なんども何度も繰り返される「テリロガ」とは、いったい、どんな意味を持った言葉なのかな、と。
ボーイズグループの彼らが歌うのだから、「ラブソング」ではあるのだろうけれど、MVのなかの4人が、ほぼずっと笑わないので、恋愛のあまさやときめきを歌った歌ではないな、と感じていました。
恋を喪失したときの歌? あるいは、別離? それとも……
——それを知りたく思って、日本語訳を紹介してくださっているサイトへ行って、その歌詞を読みました。
私が「涙をこぼす」どころではなく、わんわん泣いたのはそのときです。
彼らは、何度も「君を迎えにいくよ」と歌ってくれていたのです。
順当に考えて、この歌詞で描出されるストーリーのなかの主人公が「迎えにいくよ」と語りかけている相手は、その恋人の女性でしょう。
夕闇から夜へと変わる時刻の街を駆け抜け、一刻でも早く会いたいから、「こんばんは」と挨拶して迎えにいく「きみ」というのは、ラブソングのなかの恋人のはずです。
けれども私は、4人がファンに向けて歌ってくれたのだと感じました。
大きな喪失を経たSHINeeを、もう応援できる力がないかもしれない、と思っていた(私のような、心弱い)ファンのところまで、彼らが「迎えにいくよ」と歌ってくれているのだと。
——ファンとSHINeeが「出会う」のは、彼らの音楽のなかです。彼らの映像のなかです。
音楽や、あるいは映像という、彼らがつくりだしてくれた「作品」を楽しむとき、そこから紡ぎ出した私たち自身の心象風景のなかで、私たちとSHINeeは出会うことができるのです。
「迎えにいくよ」という歌詞は、だから、SHINeeが彼らの新しい音楽の世界を私たちに届けるよ、と歌ってくれているように感じられました。
彼らの歌とパフォーマンスの力で、ファンを魅了するよ、ということ。
今まで、そうしてくれていたみたいに。
そうやってSHINeeに心を奪われるとき、SHINeeが届けてくれた音楽のなかで。
私たちは、「SHINeeと出会うこと」ができるのですから。
*
私「Qちゃん、SHINeeの新作、聴いたよ」
私「ありがとう、すすめてくれて。すごくよかった」
私「本当にすばらしかったよ。どの曲も」
私『All Day All Nigjt』から、『You & I』まで全部」
——東京に住む大学生のQに、そんなラインを送信しました。
忙しい彼女のことですから、返信は、半日くらいは放っておかれるのが常です(苦笑)。「既読」もすぐにはつきません。
そのときも、彼女からの返信は、数時間後、夜遅くなってからやってきました。
Q「じゃろ?」
——「じゃろ」って(笑)。
Qちゃん、それ、どこのお国の訛りですか(苦笑)。
Q「最高じゃろ?」
私「うん。すごくよかった」
私「ほんとうに聴いてよかった」
——私がそう入力してから、数秒後に、彼女から、もう一つの言葉が送られてきました。
Q「SHINeeってさー」
Q「やっぱり、SHINeeなんだよね」
そう。
SHINeeは、やっぱりSHINeeだったんだ。
(この記事は「SHINee」14です。)
★歌詞の日本語訳・画像はお借りしています。ありがとうございます。
3回にもわたるような、すごく長い記事になってしまってすみません。
実はもう、SHINeeについての記事を書くことはないだろう、と思っていたぐらいだったのですが、あまりにも「Good Evening」がすばらしく、MVを見ながら涙があふれて、どうしても書きたくてたまらずに書いた記事でした。
ここまでおつきあいくださった皆さま、ほんとうにどうもありがとうございました。
もしよろしければ、ご感想をお聞かせいただけますと、とても嬉しいです。(夜ふかしチョコレート)
*コメントをくださった方、どうもありがとうございました。たいへん嬉しく拝見しました。お返事をお返ししたいので、また、当ブログに遊びにきてくださるとありがたいです。
*後日、お返事を書いた記事がこちらです。(2018.06.15)
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