チャニョルとセフンが届けてくれた、新しいアルバム『1 Billion Views』。
ちょっとキッチュで、だけどすばらしくクール。
ニア・フューチャーなサウンドなのに、懐かしさもあるキュートなメロディライン。
抑制の効いた「辛口」めのヒップホップかと思えば、ポップ・ミュージック特有の「(若干ベタな)ロマンチック要素」が上手に散りばめてある。
いくつもの相反するような要素が、絶妙なバランスを取り合って成立している、音楽的に、とてもおもしろいアルバムだったと思います。
昨年のミニアルバム『What a Life』に対しては、「チャニョルとセフンが、大好きなものを集めて、それをぎゅぎゅっと詰めこんで作ったんだなあ」という感想を抱きました。
その1分1秒を、彼らが、わくわく・どきどきしながら制作していることが、聴いている私たちに、じかに伝わってくるような音楽だな、と。
だから1年前の私は、あのファーストミニアルバムについて、「『大学2年』な彼らの音楽(Their Sophomoric Music)」と題した文章で、「大人ではない」年齢のチャニョルとセフンが、「今いる、ここ」を大切にした音楽の集大成だったと評したのです。
でも、今回の「1 Billion Views」は。
単に「僕たちの大好きなもの」を詰め込んだだけではなく、いくつもの魅力的な要素を、精巧なパズルのように組み合わせて作り上げたアルバムだな、という印象でした。
「僕たちが今、いるここ」で感じている感覚を、きちんと洗練された音楽作品として成立させるために、綿密に計算され、周到な設計図のもとに構成されているような──そういうアルバムだと感じたのです。
そんでもって、私ときたら。
とにかくタイトル曲の「1 Billion Views」に、ハートをつかまれまくっちゃってるんだなあ、これが!
1 Billion Views
いやもう、ちょっと、どうしてくれるのよ、チャニョル(笑)。
「どこの惑星から来たのか」わからない君たちふたりに、「心を揺さぶられて」しまったんですよ、わたしは!
もう「鳥肌」なんか「たちっぱなし」だからね、マジで(笑)!
毎日毎晩、1 billion times、「ビュウゥゥゥ〜〜♪」で、脳内がお祭り騒ぎさ〜〜!
(責任とってほしい、セフナ〜〜〜)!
「1 Billion Views」収録曲
1. 1 Billion Views
2. Say It
3. Rodeo Station
4. Telephone
5. Jet Lag
6. Fly Away
7. Nothin' (Cソロ曲)
8. On Me (Sソロ曲)
「君のメロディが出てきたら
僕は自動でsynchronized」
「ベッドの上でも 飛ぶ飛行機の中でも
ドレミファソラシド 1日じゅう 君と一緒に歌って」
歌詞を目でたどれば、この歌が「ポップスターである『君』に片想いしちゃってる男子の1人称ソング」であることに、すぐにわかるはずです。
(あるいは、「君」に片想いしているせつない気持ちを、「手の届かないポップスター」への恋であるかのように、「比喩」として表現しているのかもしれないけれど)
「4K 高画質カメラも
君を写すには足りなくて」
「君は僕の人生を代表する曲」
ボーイズグループのラブソングとして、「ポップスター」への片想いを歌う歌、というのは、わりと古典的な手法ではある、と思います。
アイドルの動画を何度も何度も繰り返し見たり、手の届かない片想いに、ときにせつなくなったりしながらも。
それでも、彼らの歌声やダンスする姿に、日々の生活の元気や、背中を押してくれる勇気をもらったりする、歌の中の主人公の気持ちは、そのまま、アイドルのファンである私たちの日々の行動や感情に、たやすく共鳴していくからです。
そして、ポップスターの動画を「Billion Views」しちゃうほどの熱量の片想いを、セフナとチャニョルの二人が、彼らの歌とダンスとでパフォーマンスしてくれたとき。
私たちファンの「片想い」は、「彼らの音楽そのもの」として、昇華していくのです。
▲ このスマホを使ったパフォーマンス。
テンポをゆるくして、「ちょっと練習すれば、一般人でも真似できるようなフリつけ」になっていて、いかにも「僕たちと一緒にやって、SNSに投稿してね♡」的な、小憎らしい(←むろん褒め言葉)演出だと思いました♪
MVの中で、二人の衣装は2種類。
「ありえない色と柄のセーター」と黒いレザーパンツのセフナ。
同じく「どうかしました?」と言いたくなるような色と柄の上下のアウトフィットに、真っ白なスニーカーでキメてきたチャニョル。
悪趣味このうえない、チャニョルの赤いスパンコールのジャケット(おまけに、ネックレスもじゃらじゃら)。
セフンが着ている、「間違ってる」感ありありのエメラルドグリーンの上着。
そんなムチャクチャすぎるコスチュームも、スーパーフォトジェニックなセフンとチャニョルが身にまとって踊れば。
彼らふたりのクールさとエレガントさを際立たせるための、絶妙な小道具になるという、このあざやかな反転マジック。
そりゃもう、私のちっぽけなハートなんか、あっという間に盗まれちゃいますよ(笑)
Q「セチャンの新作? ああ、わりと聴いてるよ」
私「どうだった?」
Q「前作より良かったよ。何気にリピしてる」
私「だよね? 『What a Life』も好きだったけどさ、私も、今作のほうが好みだな。なんといっても、セフナがかなり飛躍してる」
Q「これ、SMが、しっかりお金かけて作ったアルバムだと思う。コラボ陣も豪華だし、作曲家も人気どころをいっぱい投入してるもん」
私「セフンとチャニョルに投資したってことでしょうか」
Q「だよー。ミキシングも、すっごい凝って作ってある」
私「セフナの声が『危なげない』感じになってきた。ところどころ『お、聞かせてくるじゃん?』ってところもあるし♡」
Q「『Jet Lag』とかね。あのメロディライン、がんばってるよ〜セフンたん」
私「前のアルバムのときは、『あーセフナ、チャニョリヒョンがいなかったら、こんなふうにCD出せなかっただろうな』と思ってたんだけど」
Q「ああ、まあ、それはね(笑)」
私「でもね、今作を聴いたら『チャニョルのほうも、やっぱり、セフンの力が必要だったんだな』って思った」
Q「ああ……そうかも。なんだかんだ言って、セフンとニョルは、ナチュラルに仲がいいんだと思う」
このふたりの間には、彼らだけが通じあえる、特別なチャンネルがあるような気がします。
「俺と彼にしか、わからない」さまざまな事象が存在していて、それを感じながら、彼らふたりは、互いの背中を守り合って、世界の森羅万象と対峙している。
このアルバムを聴けば、その「ふたりだけの特別なチャンネル」を、私もちょっとだけ、体験できるような気がして。
私はまた、「1 Billion Views」を聴きたくなって、再生ボタンを押してしまうのです。
(2020.07.28)
去年の7月、『What a Life』について書いています。よろしければ、ぜひ。
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ご無沙汰しています。夜ふかしチョコレートです。「1 Billion Views」を聞いてみたら、セチャンの音楽がすごく魅力的で、また、彼らについて語りたい気持ちが湧き上がってきました。期間限定的な更新になるかと思いますが、あと2つくらい、彼らの音楽についての記事を用意しています。また遊びに来てくださると、嬉しいです♪
(画像・歌詞の日本語訳はすべてお借りしています。ありがとうございます)
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